ナノテクノロジーの分野で世界的な業績をあげた研究者に贈られる2024年度の「江崎玲於奈賞」に金沢大ナノ生命科学研究所の安藤敏夫特任教授(73)が選ばれ、26日、茨城県つくば市のつくば国際会議場で授賞式があった。賞金は1千万円。
安藤氏は、たんぱく質分子の動く様子を高解像度で観察することを目指し、08年に1秒間に10画像を撮れる高速原子間力顕微鏡を開発。それまでの原子間力顕微鏡では、1画像を取得するのに分単位で時間がかかっていた。
開発した技術により、多様なたんぱく質分子の動きや相互作用することの詳細が明らかになったという。安藤氏は授賞式のあと、「原子間力顕微鏡の高速化により、これまで見えなかった現象が見えるようになった。バイオ研究や産業界にもより広く使われることを期待している」と述べた。
江崎玲於奈賞は一般財団法人茨城県科学技術振興財団とつくばサイエンス・アカデミーが主催し、04年度に始まった。ノーベル物理学賞受賞者の江崎氏ら8人の委員が24年11月に受賞者を選んだ。