日本銀行本店=東京都中央区

 日本銀行による金融緩和の副作用を企業に聞くと、円安など「為替相場の動向」が最多に――。日銀が公表した1990年代半ば以降の企業行動に関するアンケートで、こんな結果が明らかになった。一方、価格転嫁や賃上げに向けた企業の姿勢が前向きになってきた様子も浮かぶ。日銀が追加利上げをするかの材料となりそうだ。

 この調査は、日銀が過去25年の金融緩和策を検証する「多角的レビュー」の一環として昨年11月~今年2月に実施し、大企業から零細企業までの2256社が答えた。90年代半ば以降を三つの期間に分けて価格転嫁や賃上げへの考え方を聞いたほか、日銀の金融緩和策の効果や副作用も尋ねた。

 報告書によると、金利を低く抑えて景気を下支えする金融緩和の副作用では、29%が「為替相場の動向」を挙げ、選択肢の中で最多だった。大企業・中堅企業の製造業では48%に上った。足元で急速な円安が進み、変動も大きいことが理由とみられる。「原材料費の増加や外国人労働者の採用難化をもたらした」(中小企業の運輸業)、「大きな為替変動は、事業計画策定の支障になった」(大企業の食料品)などと問題視する声が相次いだ。また、低金利が続いて競争力のない企業が温存され、「新陳代謝」が遅れたとの答えも21%と目立った。

 一方、金融緩和策の効果でも…

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