(6日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 秋田・金足農―沖縄尚学)
夏の日差しに鮮やかなオレンジ色のグラブが映える。細かなステッチ(縫い目)は、チームカラーの紫色――。金足農のエース吉田大輝(3年)がはめるグラブは、兄が甲子園で使ったものとそっくり同じだ。
第100回大会。兄の吉田輝星(オリックス・バファローズ)の力投が原動力となり、金足農は準優勝した。甲子園に旋風が吹いた。
小学5年だった大輝は、アルプス席から見ていた光景が胸に焼きついている。
「あのグラブが格好いいなと、ずっと思っていて。最後の夏、輝星の気持ちを背負うというわけじゃないですけど、何か同じものを持って戦いたいなと」
4月の誕生日。兄に同じ仕様のグラブを買ってもらった。入学時に贈られたグラブに刺繡(ししゅう)されていた「天下」の言葉も入れた。天下を取れ、という意味だと自分で解釈している。
兄は、あこがれ。そして超え…