「SMAP×SMAP」「離婚しない男」など数々のヒット番組を手がけながら、3月末で放送作家と脚本家を引退した鈴木おさむさん(51)。順調にみえるキャリアになぜ区切りをつけようと考えたのか。これからどんなセカンドキャリアを歩もうとしているのか。朝日新聞のインタビューにその心境を語りました。
【後編はこちら】引退後にはじめた「アドレナリンが出る」仕事
鈴木おさむさんが放送作家を「引退」を決意した真意とは。次なるキャリアの展望は? インタビューを2回に分けてお伝えします
――なぜ、いま「引退」なのですか?
放送作家として20年以上、関わった番組「SMAP×SMAP」はテレビの全盛期にはじまり、2016年末に終わりました。その後も演出、脚本、プロデュースなど魅力的なお仕事をいただき、結果も出せてきたけれど、アドレナリンが出づらくなり、スイッチが入りきらないなと感じるようになっていきました。自分が死んでいることに気づいていない、亡霊のようになった状態なんですね。
「次も結果を」 絶えず緊張
――仕事が楽しくなくなったのですか?
そもそも32年間、放送作家の仕事をやっていて楽しいと思ったことはないんですよ。僕は目の前の人に認められたくて頑張ってきた。ほめられると「やったー」とうれしくなるけど、「次も結果を出さないと」という緊張も絶えずありました。
――どんな緊張ですか?
僕はイチローさんや白鵬(宮城野親方)さんと一緒に仕事をしたことがあるのですが、彼らも同じことをいっていました。「楽しくないよ、ただただ苦しい」と。やっぱりそうだよなと共感しました。僕も番組を作っても視聴率が気になるし、バズらせないとダメだし……。数字が取れないとたたかれるシビアな業界ですからね。いつも結果におびえていました。
――引退は早すぎるのではないですか。
最後に脚本を手がけたテレビ…