【動画】絵本作家の鈴木のりたけさんが創作の過程を語り、参加者がワークショップでその手法を体験した=伊藤宏樹撮影

自身が手がけた作品について語る鈴木のりたけさん=2024年10月17日午後、東京都中央区、伊藤宏樹撮影

 「大ピンチずかん」「しごとば」シリーズなどで知られる絵本作家の鈴木のりたけさんを招いた作家LIVE「おもしろがると世界がひろがる」が17日、東京・築地の朝日新聞東京本社で開かれた。鈴木さんは創作や発想の過程を軽妙な語り口で次々と明かし、終盤には参加者がワークショップで手法の一端を体験した。

 鈴木さんは今月上旬、新作絵本「たれてる」(ポプラ社)を刊行したばかり。これで今年3作目になるという。

「危機回避!」読み聞かせで即興突っ込み

 ドーナツの上からチョコレートソースがたっぷり注がれ、おいしそうなチョコドーナツに。でも、量が多すぎてたれてしまう。ページをめくると、棒アイスやいちごクレープがたれたチョコを代わる代わる「ナイスキャッチ」していくのだが……。

 文字が少ないこの本をスクリーンに投影し、「こんなにかける?」「危機回避!」と自作に即興で突っ込みを入れながら読み聞かせを披露した。

 「たれてる」が生まれるまでには、壮大な試行錯誤があった。発端は2017年にさかのぼる。たいまつを手に洞窟を探検する人が後ろを向いたら懐中電灯を持った人がいた、バナナの皮をむいたら紙のようにビリッと破れた……。思わず「えー⁉」と声が出てしまう場面を集めた絵本を考えたが、楽しいのは自分だけかもと思い、企画はストップ。皮をむいたら、バナナが2本になったり、イルカのように海を泳ぎだしたり、あり得ないバナナを想像してスケッチを重ねたがこれもストップ。

 その後、関心はドーナツへ。様々なドーナツを想像するうちに、真っ黒なチョコドーナツを描いていた。すると「絵を見た息子が『たれてる、たれてる!』って盛り上がって。それをストレートにタイトルにしたんです」。

 日の目を見なかった案は多い…

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