置かれた場所と響き合う現代美術は数あれど、ここで主役を張っているのは空間そのもの。東京・白金台の東京都庭園美術館の「そこに光が降りてくる」展では、鉄とガラスを扱う2人の美術家の作品が、1世紀近い歴史を持つ邸宅の滋味を映し出している。
同館の本館は、旧皇族の朝香宮家の自邸として1933年に建てられた重要文化財。内装にはアールデコ様式が採り入れられ、随所に大きな窓や鏡があることで、柔らかな光が室内を満たす。
かつてダンスパーティーが開かれた大広間には、招待客の代わりに三嶋りつ惠さん(1962年生まれ)のガラス作品が所狭しと集合している。天井に埋め込まれた40個の照明とほぼ同じ数あり、その姿は伸びやかならせんや果実のような塊、トゲトゲにまん丸、細かなヒビや気泡入りとさまざまだ。
「光の遊びや揺らぎが感じられるように作っている」ガラス作品を通して、過去と現在を対話させたかったと三嶋さん。すべて無色透明のガラスは周囲の景色を取り込み、見る角度によって刻々と変化してゆく。
大客室に鎮座するのは、青木…