JR北海道が9日に発表した2025年3月期決算は、売上高が前年比82億円(5.6%)増の1560億円、純利益が12億円(37.8%)増の46億円になった。過去最多になった訪日客の効果もあり、快速エアポート(AP)や8館あるホテル事業などが好調で、鉄道事業の収入は27年ぶりの大きさになった。
特にAPは、24年3月から日中は10分間隔に増便したり、プロ野球・北海道日本ハムファイターズが好調で球場最寄りの北広島駅の乗降客が増えたりした。それらによって、札幌―新千歳空港間の乗客は1日平均で6万1100人と、23年度比で12%、コロナ禍前の19年(1~12月)比で23%増えた。
このほか、登別へ行き来する特急列車や夏に富良野・美瑛へ向かう普通・観光列車、北海道新幹線が訪日客を中心ににぎわい、運賃などの「鉄道運輸収入」は766億円と、1997年度の782億円以来の規模になった。
だが、それ以上に燃料費や修繕費、人件費といった経費がかさんだうえ、道央以外の路線の乗客減は止まらなかった。バスも含めた「運輸業」全体でみると、前年より14億円改善したものの赤字額は549億円と、数百億円規模の赤字が続いている。国からの支援金(2024年度は217億円)や経営安定基金の運用益で利益を出している構造は変わっていない。