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 桜の名所として人気の悠久山(新潟県長岡市)で、花見のお供として愛されながら10年ほど前に途絶えていた「三色(さんしき)だんご」が復活している。福祉施設で働く障害者や職員が試食を重ねて完成させた。桜とともに懐かしい味を楽しもうと多くの人が訪れている。

 桜のつぼみがようやく芽吹き始めた10日午前11時、悠久山の蒼柴(あおし)神社境内に設けられた授与所で販売が始まると、列を作って待っていた客が次々と1箱1千円(税込み)の三色だんごを購入した。「花見の時に茶屋の三色だんごを食べるのが昔の楽しみだった」という近所の女性(71)は、「あの味に似ただんごを再び味わえてうれしい」と笑顔で話した。

 蒼柴神社に隣接する悠久山公園は1919年に市民有志が造り、その後長岡市に寄贈された。現在約2500本の桜が植えられている市内有数の名所だ。当初、公園で営業していた茶屋が販売していた三色だんごは花見の季節の名物でファンが多かったが、10年ほど前に後継者難などで営業をやめたという。

 引き継いだのは、市内を中心に障害者の就労支援などをしている社会福祉法人「中越福祉会」。地域の思い出をつなぐ役割を担いながら、障害者施設の利用者が所得を得られる労働や社会参加の場をつくろうと、2年前に引き継ぐためのプロジェクトを始めた。

 職員と利用者が協力して試作を重ね、昔の三色だんごの味を知る職員らが試食するなどして完成させた。絵の得意な利用者がピンクの桜などを描いた春らしいデザインのパッケージに包み、昨年のお花見シーズンに初めて販売。「子どものころに食べた三食だんごを今度は自分の子どもたちにたべさせることができてうれしい」などと好評を得て、今月3日から再び製造販売を始めた。

 毎朝、施設でその日に売れそうな分を作り、蒼柴神社が無料で貸してくれた授与所まで運んで午前11時に販売開始。桜が満開となるころには、一日最大200箱ほど作る予定だ。

 今年は開花が遅れ、見ごろを迎えたのは4月中旬になってから。蒼柴神社によると今週末ごろまで続きそうだ。三色だんごは当初予定よりも期間を延長して27日まで連日販売(売り切れ次第終了)するという。

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