生前の岡山直夫妻=1981年9月撮影、遺族提供

 長崎市に原爆が投下されて80年の節目になる今年の8月9日、福島県三春町で「平和への祈り~岡山先生と三春・長崎~」と題した公演が初めて開かれる。町出身で長崎で被爆した音楽教師、岡山直(ただし)(1902~86)を通じて戦争と平和を考えて欲しいと町教育委員会が企画した。

 岡山は、長崎では対馬中学校(現・対馬高校)や水産学校(現・長崎鶴洋高校)、福島では地元の三春小や三春中をはじめ県内各地の小中高校の校歌を作曲した。県民歌に相当する長崎県自彊(じきょう)歌や三菱長崎兵器製作所記念歌、福島県の小野町町民の歌、田村高校2年6組HRの歌、小野町民謡・菜の花音頭など校歌以外も含めると作品は90曲近くになる。

 岡山は詳しい手記を残している。それによると、郡山淑徳女学校(現・福島県立郡山東高校)から1928(昭和3)年、長崎大学の前身の一つである長崎師範に赴任。ここで結婚し1男3女の父となった。敗戦の4カ月前の45年4月、妊娠中の妻や子を三春に疎開させ、長崎に1人で戻った。

 8月9日午前11時過ぎ。原…

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