長崎原爆で犠牲になった人たちの名簿を外気に当てる「風通し」が16日、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館であった。梅雨入りを前に湿気を除くのが目的。市職員10人が1枚ずつめくり、傷みがないかなどを確認した。
名簿203冊には、昨年7月末までに死亡が判明した19万8890人(うち広島原爆105人)の名前と死亡年月日、享年が記されている。2018年からは、国が定める被爆地域の外にいて被爆者健康手帳の交付が認められていない「被爆体験者」も記されている。名前がわからない犠牲者のための白紙の1冊もある。
今年で被爆80年。被爆3世の黒田優子さん(41)は初めて作業に携わった。「一人ひとりの名前に風があたるように、ていねいに作業しました。名前がある方は、80年前の8月9日に生活していた方。遠い昔のことではなく、自分のこととしてとらえ、平和を伝えていきたい」と話した。
名簿には、広島で被爆して記載を希望した人のための1冊もある。