長崎地裁の判決を受け、集会で話す原告の山内武さん(右)。左は岩永千代子さん=2024年9月9日午後3時33分、長崎市、小宮路勝撮影

 原爆投下から79年間も、救済から取り残されてきた被爆体験者。9日の長崎地裁判決は、原告44人のうち15人を被爆者に認定した。カギとなったのは、「黒い雨」をめぐる広島高裁判決の判断だったが、救われた15人と残る29人で明暗が分かれる結果にもなった。戸惑いを隠せない被爆体験者からは、「合理的な解決」を約束した岸田文雄首相による政治決着を求める声が高まりそうだ。

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 長崎地裁の401号法廷。原告の一部に対し、被爆者健康手帳の交付を命じる判決が言い渡された瞬間、法廷内にいた原告からは「えっ」と戸惑いの声が漏れた。

 被爆体験者は原爆投下時、被爆者と同じように爆心地から12キロ圏内にいたのに、国の線引きによって被爆地域から漏れ、手帳が交付されずにいる人たちだ。これを「著しい不平等」として、2018年に提訴。原告全員で「被爆者になろう」と一致団結してきた。

 被爆体験者は07年にも、手…

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