名古屋市役所

 名古屋市立中学の男性教諭(当時36)が2016年に自殺したのは長時間労働が原因だとして、遺族が市などに約6800万円の損害賠償を求めた訴訟があり、市は名古屋地裁の和解勧告を受け入れ、5600万円を支払う方針を決めた。来月、和解が成立する見通し。

 訴状などによると、男性教諭は15年4月に赴任した市立中学で、前任校との環境の変化があるなか、部活動指導や教材研究などの業務に加え、教育課程の編さんなどにも従事。不眠などの不調が現れ、8月にうつ病と診断された。訴状によると、発症前の3カ月間の時間外勤務時間の平均は月106時間58分で、月80時間とされる過労死ラインを超えていた。男性教諭はその後休職。16年2月に復職したが、11月に再度うつ状態となり、翌月に自ら命を絶った。

 遺族側は24年4月、男性教諭の業務時間や内容が過重だったにもかかわらず調整を怠った安全配慮義務違反があったとして市などを提訴。提訴前の23年10月に地方公務員災害補償基金名古屋市支部によって男性教諭の自殺が公務災害と認められていたことなどから、市は和解勧告を受け入れた。

 公務災害の審査にあたった同基金審査会は照会先の医師の意見書から、男性教諭が発症していたのは双極性障害であり、自死するまで治癒していなかったと結論づけていた。

 市は17日開会の市議会6月定例会に和解金の支払いを含む補正予算案を提出する。

 男性教諭の妻は「教師を支える仕組みが、もっと充実するべきだと感じています。現在のフォロー体制は、今の時代に見合ったものとは言えません」などとするコメントを代理人弁護士を通じて出した。

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