長期金利の上昇に歯止めがかからない。6日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一段と上昇(債券価格は下落)し、前日終値より0.080%幅高い1.515%をつけた。1.5%台にのせるのは2009年6月以来15年9カ月ぶり。欧米の金利上昇や、日本銀行による追加利上げ観測の高まりを受け、国債の売りが広がった。
6日朝、債券市場が始まると、長期金利はすぐに1.495%をつけた。午前10時過ぎに1.505%に上がり、午後になると1.515%まで上昇した。
きっかけは欧州だった。ドイツ与野党が連立協議で国防費増額に向けて財政規律を緩和する方針で4日に合意。国債増発への懸念からドイツをはじめ、欧州の主要国で5日、長期金利が上昇した。
米国でも同日、長期金利が上がった。トランプ政権が自動車についてカナダとメキシコへの追加関税を1カ月間免除すると明らかにし、サービス業の景況感が改善したことなどで、景気減速への懸念が後退したためだ。
東京債券市場では日銀の追加利上げが意識されている。日銀の内田真一副総裁は5日の静岡市での講演で、「経済や物価の反応を点検しながら進めていく」と発言。時期やペースにはふれなかったが、利上げを続ける姿勢を示した。
東京債券市場で一段と長期金利が上昇したことについて、みずほ証券の丹治倫敦氏は「欧州の金利上昇の影響を受けた動きだ。追加利上げについて日銀から特段のメッセージは出ていないが、債券には悪い地合いが続く」と指摘する。
安全保障面でトランプ政権は欧州に米国依存から自立を求めている。野村証券の岸田英樹氏は「防衛費について、トランプ政権は日本にも厳しい姿勢で臨んでくる可能性がある。国債増発への懸念などから、投資家にとって買いづらい展開だ」と話す。
長期金利の上昇などを受け、6日の外国為替市場では円買いドル売りの動きが進み、一時1ドル=147円台をつけ、昨年10月以来、約5カ月ぶりの円高水準となった。