昨年7月、高知市立長浜小学校4年生の松本凰汰(こうた)さん(当時9)が水泳授業中に死亡した事故を受け、今季の水泳授業のあり方を検討していた市教育委員会は12日、同小が今季の水泳実技授業の再開見送りを決めたと発表した。保護者への意向調査の結果などを踏まえたという。
長浜小は5月30日の保護者説明会で、プールを使った水泳授業を再開する際は、水深を昨季より40センチ浅い80センチとすることや、教員は事故時より1人多い4人であたるなどの安全対策を説明。学校側は取材に対し、意向調査は児童と相談した上での回答を求め、8割を超える参加への同意が得られれば再開するとの方針を示していた。「2割を超える児童が不安を抱えたままでは教員の対応が追いつかなくなる可能性がある」とも述べていた。
市教委によると、今週まとまった調査結果で、「参加する」と回答したのは全児童248人中198人(79・8)%で、わずかに8割に届かなかった。「参加しない」の回答の一部は、自由記述で「プールに入るのが怖い」「水が怖い」などと記していた。泳力不足によるものなのか、事故の影響なのかの分析はできていないが、この結果をもとに、同小は12日、水泳授業再開の見送りを保護者に伝えたという。
この日記者会見した永野隆史・市教育長は「不参加が2割を超えると授業を進められないという校長の意見に、私も同意した」「さらに努力を求められていると受け止めている。教員の指導技術を上げるなど、来年度に向けて努力していく」と述べた。長浜小以外の市立小の水泳授業は順次再開している。
一方、長浜小近くにある市立南海中は、今季の水泳実技は自校プールを使わず、校外で実施すると決めた。長浜小4年生の死亡事故は、同小のプールが設備故障で使えず南海中のプールで実施されて起き、生徒の心情への配慮とプールの水漏れが理由だという。広瀬啓二校長は「長浜小にきょうだいのいる生徒もおり、配慮が必要だ」と話した。
高知市の昨季の水泳授業は、事故直後、市立学校全60校で全面中止。市教委は今季、再開の考えを打ちだし、安全を確保する体制作りなどを進めていた。今月10日から12日までに15小学校と11中学校で授業を再開。長浜小以外にも、設備面の異常が5月に確認された旭中学校でも再開を見送るという。