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厚生労働省との交渉後に記者会見する水中探検家の伊左治佳孝さん(中央)ら=2025年9月18日午後2時18分、国会内、北野隆一撮影

 戦時中の水没事故で183人が死亡した海底炭鉱「長生炭鉱」の遺骨収容に取り組む市民団体が18日、国の担当者と交渉した。潜水調査を手がける専門家ら団体側が、安全性確認のためのボーリング調査などへの協力を求めたのに対し、国側は検討するという趣旨の回答をしたという。

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 国会内での交渉後、記者会見した「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」(刻む会)の上田慶司事務局長や水中探検家の伊左治佳孝さんによると、厚生労働省の職業安定局人道調査室が対応。担当者は「水没事故のため炭鉱内全体に亀裂が入っている可能性があり、安全ではないことに揺るぎない確信がある」などと述べたという。

 刻む会側は「なぜ危険と言えるのか」と疑問を呈し、ボーリング調査などで地質の安全性を確認することを提案。海中から出ている縦穴の「ピーヤ」内の鉄管などを取り除くことや、現場付近を掘って新たな縦穴を開け、無人機を坑内に入れて撮影するといった対策への協力も要請した。厚労省側は「持ち帰って検討」すると答えたという。

 また、刻む会は、水没事故の犠牲者の約7割が朝鮮半島出身者だったことを踏まえ、15日に韓国の行政安全省を訪ねて炭鉱内で遺骨を発見したと報告。遺骨の身元特定のためのDNA鑑定への韓国側の協力を求めたことも明らかにした。韓国側は鑑定への協力に前向きな姿勢を示したという。

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