看護師・准看護師を養成している長野市の長野看護専門学校について、運営する市医師会が市に対し、公立化を含めた運営の抜本的見直しの検討や更なる財政支援を求めた。入学者減少や多額の費用負担などから存続が厳しい状況にあるという。市は、県なども含めた検討の場を早急に設けたいとしている。
市医師会の釜田秀明会長が8日、荻原健司市長に陳情書を手渡した。市医師会によると、コロナ禍などの影響で2020年度以降、入学者は減少傾向にあり、23年度からは入学定数(3学科で計120人)の7割を下回る状況にあるという。今年度の学生定数(3学科で計320人)に対する充足率は58%にとどまっている。
県と市からの補助金も受けて運営しているが、釜田会長は「医師会の法人会計の3分の1を繰り入れている」と説明。従来の医師会業務に支障が出ているとし、「廃校も俎上(そじょう)に上るほどの実情」と説明した。
一方、今年3月の卒業生49人のうち44人が県内に就職し、28人が長野市の医療機関を選ぶなど同校が地域で果たす役割の大きさを強調。釜田会長は取材に、県立の須坂看護専門学校(須坂市)との一体化も踏まえた公立化を視野に「この1年が勝負。長野市が中心となり、ある程度の方向性を出してほしい」と話した。
長野看護専門学校は、1952年に開校した市医師会准看護学院が始まり。75年に看護師養成の進学課程を設け、09年に現在の校名に改称するとともに看護師養成の3年課程の学科を増設。これまでに5250人の卒業生を医療現場に送り出してきた。長野市にある私立2大学の看護学部に比べ、市内や県内の医療機関への就職が多いという。