ガソリン価格が日本一高いと言われる長野県。その小さな村で村民生活に関わる危機が起きた。
標高1千メートル級の山々に囲まれた売木(うるぎ)村で2014年、村唯一のサービスステーション(SS)の経営者が、従業員の高齢化や地下型給油タンクの使用期限切れを理由に閉鎖の意思を示したのだ。
人口約500人。SSにはバイクのツーリング客も訪れ、村に活気をもたらしていた。翌15年に住民有志が立ち上げた「ガソリンスタンドを残す会」が運営を引き継いだ。
20年4月にはそれまでのSSに代わって、地上にタンクを置くタイプのSSを村内の別の場所に開業させた。国の補助金を使った実証実験で、地下型よりも導入費を2割程度抑えることができた。
ただ経営は厳しい。村への峠の道は冬の凍結もあって大量輸送が難しい。利用客も減り、販売価格は高くなりがちだ。
村民は村発行の商品券を使えば2割引きで給油できるが、10年前に年間約33万リットルだった販売量は減り続け、昨年は28万3千リットルに。村の人口が減り続けていることなどが原因という。
35自治体がSS過疎地
高コストになり、自治体の補助がなければSSを維持できない現実を描きます。
年間売り上げは5千万円程度…