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開会式で一斉行進を終え、整列する選手たち=伊藤進之介撮影
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 第107回全国高校野球選手権大会は5日、阪神甲子園球場で開幕した。炎天下で行われる大会では、様々な暑さ対策が行われる。選手らの安全を守るため、「夏の甲子園」のあり方は変化している。

 象徴的なのが5日の開会式。史上初めて午後4時に始まった。その後、第1試合を午後5時半から行う。日本高校野球連盟の井本亘事務局長は「選手だけじゃなく、プラカード担当、吹奏楽、いろんな準備をして頂いている関係者の皆さんのことを考えた」と話す。

 昨年の第106回大会は午前8時半に開会式を始め、第1試合は午前10時ごろにプレーボールした。第2試合は午後4時から。暑さのピークを避ける「2部制」を初めて採用した大会だったが、朝の開会式に出席し、夕方まで待機した選手たちの「負担が重い」との声が出たことから、今回の方式に変更した。

  • 【筆者が動画で解説】今大会の見どころは? 暑さ対策は?

 2部制は、昨年は第1~3日の3日間のみだったが、今年は第1~6日の6日間に拡大する。1日4試合の日(第2、3、5、6日)でも2部制を導入する。

 負担軽減の一環で、試合前の守備練習(ノック)を行うかどうかをチームが選択できるようにする。ノック時間も2分短縮して5分になる。

 サポート態勢は今年も厚くする。12人前後の理学療法士が連日、球場に詰め、選手の体調管理を担当する。試合前に熱中症の既往症の有無や睡眠、食事、体調不良について選手にアンケートを行ったうえで、試合中や試合後のケアにあたる。

 2年前からは五回終了後にクーリングタイムを設けた。選手は全員、ベンチ裏の冷房がきいたスペースに移動し、理学療法士の指導のもと、シャーベット状の飲み物である「アイススラリー」やスポーツドリンクなどを摂取できる。当初は10分間だったが、短縮しても効果は見込めるため、今年から8分間になった。

「おにぎりを増やして欲しい」

 深部冷却に効果のあるアイススラリーは、昨年も試合前と五回終了時に摂取を呼びかけていた。今年は二、三回と七、八回の攻撃中を合わせた計4度に増やして、摂取を促すという。甲子園での医療活動を担う「アスリートケア」の堀口幸二さんは「熱中症予防として、試合前から摂取するのは非常に重要」と話す。

 食事をきちんと取ることも、熱中症対策には重要だ。昨年から、球場到着後に栄養補給できるよう補食を導入した。代表校へのアンケートで「おにぎりを増やして欲しい」という声が寄せられ、今年は全試合でおにぎり、パン、栄養食品などを提供する。

 試合中は常にグラウンドに立ち続ける審判委員の対策も進める。今年から球審も白いシューズを履き、球審、塁審とも白い帽子を着用。さらに、新たに体表温度と心拍数、運動量を測定する計測器を、同意の上で身につけてもらう。今後の公式戦に向け、データを分析し、審判委員や選手の熱中症予防に生かす。

応援団にも配慮

 観客の負担軽減も大切な要素だ。

 主に学校応援団の生徒向けに、一、三塁側アルプス席そばに空調がきいた応援団臨時休憩所を設けている。待機する学校応援団のためにアルプス席の入場門前に日よけテントやミスト扇風機などを設置。今年から学校応援団の生徒向けに新たにダクトクーラーを導入する。

 当日券を求めるために発生していた球場周辺の行列を解消するため、第104回から一般向けの入場券を原則ネット販売による全席指定・前売りとしている。

 また、日本高野連は2026年シーズンから公式戦で、投手の代わりに、守備につかない別の選手が打席に入る指名打者(DH)制を採用することを決めた。さらに熱中症などのリスクを減らすため、公式戦に「7イニング制」を導入するかどうかも検討している。

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