がばい旋風の「がばい」とは、佐賀の方言で「とても、非常に」を意味する。
2007年の第89回全国高校野球選手権大会。開幕試合に登場した佐賀北は、7年ぶり2回目の出場だった。
その13年前の1994年。佐賀商も開幕試合を突破し、決勝で評判の高かった樟南(鹿児島)を破って優勝した。
佐賀北が福井商に競り勝って2回戦に進出したころ、同じように決勝で満塁本塁打が飛び出して頂点に立つとはだれもが予想してはいなかった。
1回戦から決勝までの15日間に7試合を戦った。「甲子園がチームを成長させる」とはよく言われる。あえて分岐点を探せば、宇治山田商(三重)との2回戦だろう。延長十五回、4―4で引き分け、再試合は9―1で快勝する。
馬場将史から久保貴大への継投が決まった。帝京(東東京)との準々決勝は、同点の五回以降、両チームゼロ行進が続く中、延長十三回に決勝点を挙げてサヨナラ勝ちした。
決勝。広陵(広島)のエース野村祐輔に七回まで1安打に抑えられ、0―4とリードされた。それが、八回に押し出しで1点を返し、続く副島浩史が左越えに逆転満塁本塁打を放った。
13年前を思い起こさせる一発を放った3番打者は、当時の取材に「みんながつくってくれたチャンス。つなぐことだけ考えていた」と振り返っている。地に足がついた一振りだった。
特待生問題がニュースになった年の夏に、県立校の佐賀北が優勝したことも話題を呼んだ。