デフリンピック開幕1年前のイベントに登壇した手話通訳士の保科隼希=2024年11月15日、東京都江東区、吉田耕一郎撮影

現場へ! デフリンピックが来る(3)

 研修会が開かれている会議室の扉を開くと、そこには静かな空間が広がっていた。壇上の講師が手話で話すと、かすかに笑い声がもれた。

 昨年11月、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開かれていたのは、今年11月、東京などを中心に行われる聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」に向けた「国際手話通訳者及び手話言語通訳者養成研修会」(全日本ろうあ連盟主催)だった。

 複数回、開かれた研修会の参加対象は、手話の世界共通語である「国際手話」でコミュニケーションをとれる聴覚障害者と、厚生労働省から認められた健聴の手話通訳士。計約240人が参加した。

 海外からも選手が集まるデフリンピックでは国際手話ができる人と手話通訳士がペアを組み、通訳を担う。

 例えば、日本のメディアが海外のデフアスリートに話を聞く場合、メディアが話した日本語を手話通訳士が日本の手話で表現し、それを国際手話ができる人が海外のデフアスリートに伝える。

 東京都スポーツ文化事業団のデフリンピック準備運営本部では、本番で国際手話ができる人が「80~100人は必要」と見積もっている。

 ただ、研修の参加者のうち国際手話でコミュニケーションをとれる人は約80人にとどまる。同連盟が独自に実施している試験を突破し、国際会議などで活躍できるスキルがあると認められた「国際手話通訳者」に絞ると、十数人しかいないという。デフリンピックに向け、国際手話通訳ができる人の養成は急務だ。

経験がものいう部分も

 「各国の手話と国際手話はま…

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