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 小林製薬(大阪市)の紅麴(べにこうじ)原料を含むサプリメントを巡る健康被害が判明してから22日で1カ月がたった。同社から国への報告が遅れたことが問題となる中、今回のような被害情報を広く集めて対応する国の制度が3月に始まっていた。専門家は「新しい制度が機能していれば」と話している。

 新しい制度は、サプリメントを含む健康食品全般について、健康被害が疑われる事例があれば、消費者や医療関係者、事業者が都道府県に報告。それをデータベース化し、専門家の分析後に速やかに公表し、被害拡大を防ぐ。厚生労働省が3月13日に自治体を通じ情報提供への協力を求める通知を出し、制度は事実上始まった。だが、小林製薬が紅麴サプリが原因と疑われる健康被害を最初に把握したのは1月だったため、制度の対象外となる。

 一方で、同社は1月15日に医師から初めて報告を受け、2月上旬には複数の医師から問い合わせがあったが、「因果関係が明らかでない」として2カ月以上、国に報告しなかった。

 厚労省の専門家グループ座長を務める、曽根博仁・新潟大教授(代謝内分泌内科学)は「今回の問題には実質的には間に合わなかったが、この新しい仕組みがもっと早くでき、うまく機能していれば」と話す。

 曽根さんは「健康被害が生じた場合、自社で原因物質を突き止めて対処しようと考えがちだが、その間に被害はどんどん広がってしまう。たとえ原因物質が分かっていない段階でも、情報があれば、被害拡大の防止や現場の治療対応に生かすことはできる」とする。

 食品衛生法では、食中毒が発生した場合、診断した医師に届け出の義務を課す。施行規則では事業者に、食品やその添加物が原因と思われる健康被害と診断された消費者から報告があれば、自治体に情報提供する努力義務がある。ただ、今回のように、すぐには健康被害とその原因が結びつきにくい場合の対応は難しい。他の健康食品全般については、健康被害が疑われる場合でも、報告を義務づける制度はない。

 食品衛生法では、特定の四つの指定成分を含む健康食品については、疑い例も含む健康被害の情報を事業者に報告することになっている。2020年6月~21年12月に報告された事例は521件だった。一方、指定成分を含まない食品についても保健所に疑い例の届け出があれば情報を集めていたが、同期間に報告されたのは18件だった。そこで、より広く被害情報を集めるために、新しい制度は始まった。今回の紅麴サプリは指定成分を含んでいないとみられる。

 小林製薬のサプリをめぐっては、25日までに5人が死亡、262人が入院している。日本腎臓学会の調査では、今年3月に初めて受診する人が多く、同月に服用を開始したばかりの人もいた。

 今回の問題を受け、政府は機…

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