新制度を活用し、間伐された森林=3月、兵庫県宍粟市、天野剛志撮影

 所有者が小規模で手入れの行き届かない森林は、市町村が仲人役になって、民間事業者に経営を橋渡しして――。こんな趣旨の法律が6年前にできた。従来の民間取引だけでは、全国的に森林の整備が進まないという危機感から生まれた国の新制度だ。いま全国の市町村が取り組むが、実際に「橋渡し」できた例は限定的で、関係者が苦悩している。

連載「森を訪ねて」

国土の7割ほどを占める森林。地方では林業の担い手不足で間伐が行き届かず、森林を次の世代に残せるのか危ぶまれています。森を歩き、森の視点から、国が掲げる「地方創生」の現状と今後の方向性を探ります。

 林野庁によると、国内の森林は、所有者一人ひとりが持つ森林の規模が小さいことが特徴。保有面積が1ヘクタール以上の所有者は全国に約69万戸あるが、このうち10ヘクタール未満と比較的小規模な所有者が約9割を占める。

 小規模所有者の森林の多くは、森林組合や林業会社といった大型機械を持つ民間事業者が委託を受け、間伐などをする。

林野庁が「新制度」

 しかし、小規模所有者は、木材価格の低迷で林業への関心が薄れ、高齢化も進み、森林の境界や所有者が不明確になる例が続出。手入れが行き届かない森林が増えている。

 この事態を打開しようと、2…

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