「100年をたどる旅」アメリカ編 解説
第2次世界大戦後、世界に自由貿易を広げる旗振り役を務めてきた米国だが、その姿勢は一貫していたわけではない。
ダートマス大学のダグラス・アーウィン教授は大著「米国通商政策史」で、建国以来の通商政策を、関税の位置づけに着目して三つの時代に区分している。
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まずは、1776年の建国直後の時期だ。欧州からの自立を目指す保護主義的な意見と、建国の理念だった経済的自由を重視する意見が交錯し、関税は主に税収を賄う手段として設定された。
次に、南北戦争(1861~65年)後は保護主義が圧倒するようになる。国際競争力に劣る工業を基盤とする北軍が勝利することで、米国の産業を守る手段として、関税が引き上げられた。
1929年の世界恐慌後には、米国は自由貿易に転じる。世界恐慌と同時期に制定されたスムート・ホーリー法の高関税が、大戦の一因になった反省から、関税は世界に自由貿易を広げる手段に一変した。各国が関税を引き下げる呼び水として、米国が税率を引き下げていった――という。
そして今、第2次トランプ政権が戦前以来の水準の高関税を課すことになった。米国は、再び保護主義が支配する「第4の時代」に入ったのか。
アーウィン教授は朝日新聞の…