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石破茂首相に訪米の報告をした後、取材に応じる赤沢亮正経済再生相=2025年7月24日午後6時54分、首相官邸、岩下毅撮影

 政府は25日、日米関税交渉の合意の概要を公表した。米側は相互関税と自動車関税をともに15%にし、日本は経済安全保障での協力や、米国製品の輸入拡大を約束した。一方、日本が提案した最大5500億ドル(約80兆円)の対米投資をめぐり、「大きなディール(取引)」だとアピールしたい米側と、日本側の認識の差もあらわになった。しかも、いつ「新しい税率」になるのかも未定だ。

 焦点となっている対米投資は、経済安全保障上重要だとする半導体や医薬品などの分野で、政府系金融機関が最大5500億ドル規模の出資、融資、融資保証をして民間投資を促すというもの。

 半導体や医薬品はとくに中国や台湾が高い世界シェアを占める分野で、日米がともに利益を得られる新たなサプライチェーン(供給網)を構築するねらいがあるという。期間は明示されていないが、トランプ大統領の残りの任期である3年半を想定する。

 ただ、日米間の姿勢には温度差がある。

 日米両政府が合意した22日(米国時間)、トランプ氏は自身のSNSで「日本は、私の指揮の下に米国へ5500億ドルの投資をし、米国はその利益の90%を得る」と投稿。ホワイトハウスが翌日公表した文書では、日本は5500億ドルを投資することで「米国の中核産業の再建と拡大をする」と明記した。

 また、日本側とこのしくみを考案したとされるラトニック商務長官は、合意後のブルームバーグのインタビューで「『半導体工場を造ろう。1千億ドル規模だ』となれば、日本がプロジェクト全体に資金を提供する」「利益の90%は米国の納税者、10%が日本側に分配される」などと語った。

 一方、日本政府の説明では…

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