日米の関税交渉は、曲折を経てひとまずの決着を見た。トランプ米大統領の意向に振り回されてきた日本の製造業者からは、実効性をいぶかしむ声と、安心する声が交差した。
1789年創業の「笛木醬油(しょうゆ)」(埼玉県川島町)は世界13カ国・地域にしょうゆを輸出。中でも米国向けの売り上げは日本食ブームなどを背景に近年伸び続けており、昨年1年間の売上額は前年と比べて3倍だった。
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社長の笛木吉五郎さん(45)は「米国は輸出先として最重要国ととらえている」。自ら渡米して商品を売り込むなど、積極的に営業してきた。
価格転嫁するか、負担するか
しかし、今年4月にトランプ大統領が世界一律に10%の関税を課すと発表し、「注文が減った」。日米が23日に合意した「15%」は、当初米側が日本に示してきた関税率よりは低いものの、現状より5%の税率アップとなることに変わりはない。
関税については、卸し先や海外の取引先と相談し、現地の小売価格に転嫁させるか、各社で負担して消費者の負担を増やさないようにするか検討しているという。
20日の参院選では、関税交渉について取り上げる候補者がほとんどいなかったと感じる。選挙後に誰がどこまで熱意を持ってこの問題に取り組んでくれるのかはわからず、交渉の責任者である石破首相が辞任する事態にもなれば、と不安はふくらむばかりだ。
「米国側は方針が二転三転するので、15%で合意というのも本当に信じていいのか。強気の姿勢で交渉できる人が首相であってほしい」と話した。
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