日本維新の会は、全国的な支持は広がっていないものの、本拠地・大阪を中心に関西での議席獲得が注目されている。
兵庫は連続トップ当選だったが…
兵庫選挙区(改選数3)では、日本維新の会新顔の吉平敏孝氏(44)が落選した。前々回、前回でトップ当選していた維新が今回は敗れる結果になった。
選挙期間中、報道各社の情勢調査などで厳しい状況が伝えられるなか、陣営関係者は「風を感じない。手応えがあまりなく、どの辺りに位置しているのか正直つかめない」と話していた。
維新関係者が懸念していたのは、内部告発文書問題で失職した斎藤元彦氏が再選された昨年11月の兵庫県知事選をめぐる問題だ。
県の内部告発問題を調べた県議会調査特別委員会(百条委員会)の非公開情報を当時、維新に所属していた県議3人が漏洩(ろうえい)したなどとして党の県組織「兵庫維新」は除名や離党勧告処分とした。党の信用を落とす事態が、参院選への大きな不安材料となっていた。
大阪は佐々木氏と岡崎氏
日本維新の会は、本拠地・大阪で2議席を確保する見通しとなった。大阪選挙区(改選数4)で、いずれも新顔で元大阪市議の佐々木理江氏(42)、岡崎太氏(57)が初当選を確実にした。
佐々木氏は大阪市の事務所で、「難しい選挙だったが、最後まで維新の会の看板を背負って戦わせていただいたことを心より感謝申し上げる」とあいさつ。「市議としての経験を生かして、国の規制緩和をしっかりやっていきたい。人口が減少しても日本が元気で豊かになれるよう政策をしっかり実現していきたい」と述べた。
岡崎氏も同市の事務所で、低迷する党の支持率を引き合いに「(選挙戦の)スタートラインはつらいものがあった」としつつ、「我々がやってきた大阪での実績が、市民の中で深く浸透していた」と語った。国政では、道州制の実現や税金の使途の改革に取り組みたいとした。
同選挙区ではこれまでも3回連続で2議席を獲得してきた。今回の参院選では低迷する党勢が逆風となり、厳しい戦いを強いられた。2人とも当選させるには、均等な票割りがポイントだった。選挙期間中は所属議員をチーム分けして両候補の支援にあたったが、情勢をみて中盤以降は岡崎氏に重心を置いた。こうした票割りが奏功したとみられる。
同選挙区ではこれまで一度も候補者が負けたことがないだけに、仮に落選すれば、吉村洋文代表(大阪府知事)の求心力が問われかねなかった。
京都は関テレの元アナ新実氏
京都選挙区(改選数2)では、維新新顔の新実彰平氏(36)が当選を確実にした。維新としては、同選挙区で初の議席となる。
新実氏は京都市左京区出身。京都大を卒業して関西テレビにアナウンサーとして入社。ニュース情報番組のメインキャスターを務めた。知名度を生かして優位に選挙戦を進めた。京都市が地元の衆院議員、前原誠司・共同代表が連日支援していた。
新実氏は自身の当選確実を受けて、「政権与党やこれまでの政治のあり方に対する問題意識の受け皿となった。期待を裏切らないように仕事をしていきたい」と述べた。