「さて、みなさん」のあいさつで知られるラジオパーソナリティーと言えば、関西でおなじみの浜村淳さんです。映画評論家としても人気の高い、90歳を迎えたラジオ界のレジェンドに、今の自分を形作った「みっつ」を浜村節で語ってもらいました。
《映画が好きになった原点は、生まれ育った京都市北区の鷹峯(たかがみね)。自宅近くでは時代劇の撮影が毎週のようにあった》
これがね、時代劇映画のロケーションの本場やったんです。大人は仕事があって見に行けませんが、私たち子どもはみな学校から帰ると、カバンを投げ出してね。撮影現場に走っていくわけなんですよ。片岡千恵蔵や阪東妻三郎が間近で見られて。
宣伝効果の一つやったんでしょうねえ。子どもたちを追っ払うことはしなかったですね。みんな映画に自分の家が映っているもんですから、公開されたらすぐに見に行ってね。あの頃は、随分楽しませてもらいました。
映画にどっぷりつかったのは大学生の時です。私はね、いまだにマージャンができないんですよ。何でかというとね、みんながマージャンをやっていた時に、1人、映画を見ていたわけです。
夕方になると、仲の良い友人たちで飲み屋に集まりましてね。「お前、今日どんな映画を見たんや」と言われるわけですよ。こんな映画でね、実はこういうストーリーで……。見ていない連中に分かりやすいよう、細かく語るのが恒例でした。
それがいまだに続いておりまして。だからリスナーの方からは、「浜村の映画評論はけしからん。最後まで語りよる」と言われるわけです。なるべくね、ラストまで明かさないようにはしてますけどね。ハハハ。
■無人島に持って行きたいのは…