美浜原子力発電所の鶴一隆所長=2025年7月24日午前10時15分、美浜町役場、小田健司撮影

 福井県美浜町で新原発の建設に乗り出す方針を示した関西電力は24日、美浜町議会の原子力発電所特別委員会で、調査方法などについて説明した。歓迎の声が上がる一方で、「使用済み核燃料の最終処分場が決まらない限り、新設は考えられない」などの意見もあった。

 美浜原発の鶴一隆所長や原子力事業本部(同町)の担当者らが訪れた。

 関電側の説明によると、原発新設に向け、新規制基準を踏まえて地形や地質を調べる。将来活動する可能性がある断層の有無▽基礎地盤や周辺斜面の安定性▽地震動の評価のための地下構造の把握――の主に3点が重要になるという。

 町議の多くが関電の方針を歓迎している。説明会では「新しい原発に期待している」「工程を早める努力はしているのか」といった意見や質問が出た。

 一方で、反対派の委員は、使用済み核燃料の行き先が決まっていないことを指摘し、「新設されれば、美浜原発に燃料がたまり続ける」と主張した。関電側は「使用済み燃料対策は(関電が策定した)工程表に従い進める。そのうえで、調査の方も進めたい」と説明した。

 ただ、関電の工程表で主な搬出先とされている日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、これまで完成延期が27回繰り返されている。委員からは「核燃料サイクルが現実的に破綻(はたん)している中で、その答弁は成り立たない」などの反論もあった。

 関電は2010年、美浜原発1号機(廃炉が決定)の建て替えに向けた調査を開始。東日本大震災をきっかけに、調査は中断したままになっていた。

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