阪神の勢いが止まらない。セ・リーグの「貯金」を独占し、優勝へのマジックを順調に減らしている。独走状態の要因は、主力に長期離脱するほどのケガ人がいないことと、投打がかみ合っていることだろう。
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打線では、本塁打、打点ともにリーグ1位の4番・佐藤輝明を中心に、中軸3人が打点の上位3傑を占める。打率リーグ上位に入る近本光司と中野拓夢の1、2番が好機をつくり、好循環を生んでいる。
投手陣も安定している。12勝の才木浩人、10勝の村上頌樹がともに防御率1点台で、2本柱として先発陣を引っ張る。救援陣では、連続試合無失点のプロ野球記録を更新した右腕の石井大智、昨季の9試合からすでに6倍以上の登板を重ねる左腕・及川雅貴が、どちらも防御率0点台。左右の両輪を中心に盤石のリリーフ陣を形成している。
ここまでの大型連敗は交流戦での7連敗のみ。これは、頭部に打球が直撃した石井が不在の時期と重なる。ただ、この間はセ・リーグの各チームも苦戦したため、ゲーム差があまり変わらず、最小限のダメージで済んだ。
リーグ戦再開後の7月1日には石井も復帰し、2年前に優勝した時以来となる11連勝(6月28日~7月10日)につながった。ここで、一気に2位以下のチームを引き離した。
7月30日にはマジック「39」が点灯。だが、他球団との兼ね合いで消えることもあるマジックは「自分たちの(コントロールできる)ことじゃない」と藤川球児監督。「11月からチームと一緒に動き出してから、(意識するのは)凡事徹底と(自分たちのことに)没頭するということですから、そこで止まるということはない」と特別に意識しなかった。
例年、8月は遠征が続くが、「死のロード」と呼ばれたのも今は昔。むしろ、涼しいドーム球場での試合が続き、選手の中には歓迎する声もある。今季は本拠・甲子園以外での試合が8カードあったが、中野は「チームがやるべきことをやれば、勝ちはついてくる」と話していた。その言葉通り、最終日を待たずに全カード負け越しなしが決まった。
29日から甲子園に戻り、ラストスパートへ入る。パ・リーグの前後期制シーズンを除いては両リーグを通じ3番目に早く、球団史上最速だった2年前の9月14日よりも早く優勝する可能性は十分ある。(今季の成績は全て27日時点)