八回表阪神無死、本塁打を放つ佐藤輝明=日刊スポーツ

 (5日、プロ野球 阪神タイガース7―1北海道日本ハムファイターズ)

  • 進路が決まらなかった高3の佐藤輝明 人生を変えた雨の日の一振り

 打った瞬間に確信できる高い弾道が、右翼へ向かう。打球がスタンドに吸い込まれるのを確認しながら、阪神の佐藤輝明はゆっくりとダイヤモンドを回り始めた。

 八回無死、甘く入った128キロのスライダーを振り抜いた。リーグトップを独走する今季16号は、史上310人目の通算100号だった。

 記録への思いは「全くない」としつつ、「もっともっと打ちたいなっていう思いも新たに出てきた」。

 2020年秋のドラフト1位で入団。1年目は球団新人最多を塗り替える24本塁打を放った一方で、リーグワーストの「59打席連続無安打」を記録するなど、荒々しい打撃で注目を浴びた。

 粗削りゆえに好不調の波が大きいのが弱点だったが、5年目の今季は違う。

 元々得意だった右方向への打球だけでなく、中堅方向を意識。左打席で体が突っ込むことがなくなった。

 前夜、1試合2発で節目の記録に王手をかけ、日本ハムの新庄剛志監督から「センターを意識して左中間に放り込むようなイメージのスイングを変えなかったら、すごい成績を残すんじゃないか」と評された。そんな敵将から記念の一打を祝福され、26歳は「拍手してもらえるとは思っていなくて、うれしかった」。

 41打点はリーグトップ。打率も2割8分8厘と好調を維持している。「数字は全部伸ばしたい」。100号は序章に過ぎない。

 藤川監督(神) 佐藤輝の通算100号に「1打席、1球に対する姿勢が常に同じところが、安定したパフォーマンスにつながっているのでは」。

共有
Exit mobile version