(15日、プロ野球 阪神タイガース5―1東京ヤクルトスワローズ)
阪神の才木浩人といえば、落差のあるフォークが決め球。ただ、この日さえたのは別の球だった。
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立ち上がり、制球がばらついた。3月にあった大リーグ・ドジャースとのプレシーズンゲームで、大谷翔平からも空振り三振を奪った宝刀でさえも。ここで頼ったのが、189センチの長身から投げ下ろす最速150キロ超の直球だった。
「どんどん攻めていければいい」と強気だった才木。捕手の梅野隆太郎も「持ち味はまっすぐがあっての変化球。ピンチになるまで、とにかく押していこう」。バッテリーの思惑は一致した。
相手の2番から始まった四回の右飛、空振り三振、三ゴロは、いずれも直球で仕留めた。五回はさらに力で押した。全12球がストレートで、三者凡退に退けた。
六回2死から西川遥輝に甘く入った直球を中前安打にされたが、それまでは無安打投球だった。7回を被安打2、無失点。相手を寄せ付けなかった。
昨季はリーグ2位タイの13勝を挙げ、同3位の防御率1.83をマークするなど、柱の一人に成長した。4完投も巨人・戸郷翔征と並んでリーグ1位。堂々たる数字を残しても、「チームは優勝できていないし、タイトルは取れていない。やらないといけないことが多い」。決して満足していなかった。
「勝負の世界なので、1番以外に価値はない」。そう語り、勝負師に徹する右腕が掲げた今季の目標は「取れるタイトルを全部(取る)」。高いハードルを課し、さらに上をめざしている。
開幕から2試合は援護に恵まれなかったが、この日は打線もつながり、3試合目の登板にして今季初勝利。大きな高みへの第一歩を踏み出した。