米ペンシルベニア州バトラーでの選挙集会で、トランプ前大統領が銃撃された事件から20日で1週間となる。米メディアが報じる当局の情報や、当局から説明を受けた連邦議員らの発信などにより、トーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)の足取りが徐々に明らかになりつつある。

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 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、事件の約1時間前、地元の警察官が会場周辺でやせた挙動不審な男を見つけ、シークレットサービス(大統領警護隊)に無線で伝えた。男は後に事件を起こすクルックス容疑者だったが、武器は持っていないようだったといい、警官は見失ってしまった。

米ペンシルベニア州バトラーで開かれた選挙集会で2024年7月13日、演説するトランプ前大統領=ロイター

 事件の20分前には会場近くに配置された狙撃手が容疑者を見つけ、写真を撮った。少なくとも2人の警官が交通警備から引き抜かれて男の捜索に加わった。だが、警護隊はそのまま集会を続行させ、トランプ氏は演壇へ。演説開始から8分ほど経ったところで銃撃を受けた。

 トランプ氏の陣営は、3日に今回の選挙集会の開催をウェブサイトで公表し、参加者を募った。警備の先遣隊は8日、警備上の脅威を評価するため会場を訪れ、大統領警護隊と地元警察との役割分担を協議。警護隊は、演壇から北に150メートルほどしか離れていない倉庫群を最も厳しく警備する区域から除外し、そこの警備を地元警察に委ねた。

2024年7月13日にトランプ前大統領が銃撃される事件が起きた、米ペンシルベニア州バトラーの集会会場の航空写真=AP

 米国内では事件後、警護隊に非難が集中した。22日には米議会での公聴会が予定され、共和党議員からは警護隊のチートル長官の辞職を求める声も上がっている。国土安全保障省も警護隊の対応に問題がなかったが調査を始めている。

 警備態勢と並ぶ今後の焦点は、容疑者の動機だ。事件前の足取りは明らかになりつつあるが、動機ははっきりしない。

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