自衛隊と靖国神社の関わりが次々と明らかになっている。幹部自衛官らの集団参拝や「遊就館」研修、終戦の日の木原稔防衛相の参拝――。かつて軍国主義を支えた国家神道の中心的施設だった靖国神社と、戦後に旧軍と断絶し、憲法の政教分離原則のもとにあるはずの自衛隊が接近している。その背景について、将来の幹部自衛官を育てる防衛大学校の等松春夫教授(政治外交史)に聞いた。
――防大では日本の近現代史をどのように教えているのですか。
2008年に田母神俊雄・航空幕僚長が「大東亜戦争」を評価し、「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」と述べた論文を発表しました。当時の防大は学校長が政治学者の五百旗頭真氏で、これを問題視し、全体の8割近くを占める理系の学生に対しても日本の近現代史の教育をより重視するようにしました。文官の教官である私の授業では、かつて日本が「大東亜共栄圏の建設」を掲げて戦争をしたのは事実だが、自衛官としてそのような言葉を使う際は歴史観を問われるので慎重にと教えています。何よりも近現代史の基礎知識と教養をつける大切さを強調します。
――靖国神社についてはどう…