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防災食を試食してもらう山本将久さん(右)=三重県伊賀市西高倉
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 消防士の仕事は天職のように思えたが、東日本大震災をきっかけに心が傷つき、辞表を出した。20年以上携わった現場から自分は逃げたのでは。古里の防災意識を高めるために何かできないか。ずっと抱いていたアイデアを形にしようと、「飛び込み」で電話をかけ続けた。

 10月下旬、三重県伊賀市西高倉の上野北小学校グラウンドであった市の総合防災訓練。テントのブースで山本将久(まさひさ)さん(51)がカセットボンベで湯を沸かし、パックを放り込んだ。中身は魚の煮物や回鍋肉(ホイコーロー)。試食を促された親子連れらは口々に「おいしい」。県の防災関係者は「普通の店で出されても、防災食だとわからない味」と話した。山本さんは「期限は半年ほど。普段は冷凍し、(日ごろから使いながら買い足していく)『ローリングストック』するのがいい」とPRした。

 同市柘植町の山本さんは岐阜の高校を出て、東京で働いていた。母親の誘いでUターンし、19歳で旧・伊賀北部消防組合に入った。命を守る仕事、先輩の厳しい指導が自分に向いているのを感じた。

 火災や事故、水難などの現場…

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