急増する防衛予算

 防衛装備品の輸出を支援する国の基金をめぐり、これまでに積み立てた計800億円の資金のうち、約15億円しか使うめどが立っていないことがわかった。海外からの受注が想定を大幅に下回っているのに、政府は当初計画どおり新年度予算案で400億円を基金に追加する方針だ。必要性の精査が不十分なまま、防衛予算が膨らんでいる。

 この基金は、政府が2022年末に決めた防衛力整備計画で新設した「防衛装備移転円滑化基金」。企業が装備品を輸出仕様に改修する費用を全額補助する。政府は23~27年度の防衛費をこれまでの1.5倍以上の43兆円とし、基金に2千億円を充てる計画だ。それに従い、23、24年度の予算で基金に400億円ずつ計上し、25年度予算案にも同額を盛り込んだ。

 この計画を決める際、防衛省は財務省に対し、「数千億円から最大1兆円の引き合いがある」と説明していた。今年度の事業計画では、350億円の補助金を支出する予定だった。ところが、これまでに輸出が内定したのは、昨年11月に公表されたインドへの艦船用アンテナの1件(約15億円)だけ。防衛省によると、ほかに受注のめどが立っている案件はないという。

 通常の予算は年度内に使い切…

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