体験搭乗したF15戦闘機。後ろの座席に記者がのっている=2024年12月11日、航空自衛隊提供

 目を開こうとしても、まぶたが勝手に下がってくる。外の空気は入ってこないのに、まるで強風にさらされているような、不思議な感覚だった。

 北海道上空の高度5400メートル。私の乗った航空自衛隊のF15戦闘機は、別の戦闘機と戦う「ドッグファイト」の訓練に入った。時速740キロで急な加減速や旋回を繰り返し、体には体重の7倍もの重力加速度(G)がかかる。目を精いっぱい開こうとしても開かず、視界はどんどんせまくなる。首はまったく動かせない。

 「旋回が続くと、体内の血液は下半身に集まり始め、脳に血が行かなくなります」。離陸前に、隊員から聞いていた。そうなると視界は次第にぼやけ、色がなくなれば「グレーアウト」、まったく見えなくなれば「ブラックアウト」だ。意識を失うことさえある。

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 防衛省・自衛隊の取材を担当している私は昨年12月中旬、空自の主力戦闘機F15に体験搭乗する機会を得た。普段は東京・市谷の防衛省内にいることが多いが、防衛の最前線である実際の現場を知りたいと考えた。

 事前に空自入間基地(埼玉県…

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