本格的な雨のシーズンを迎え、豪雨災害に一段と強い警戒が必要だ。局地的に激しく降る雨や状況の急変など、特に夜間にさしかかる場合は早めの避難を心がけたい。確実で安全な避難に結びつけるには、どのように備えれば良いだろうか。(川原千夏子、矢田文、グラフィック=米澤章憲)

避難を決めたのは「濁流」 家族や近所、呼びかけ合い大事

 70人近くが犠牲になる被害をもたらした2020年7月の熊本豪雨では、雨が強くなり始めたのは日が暮れてからだった。熊本県南部を流れる球磨川流域では、同月3日午後9時から4日午前10時にかけて、東西約280キロに及ぶ大規模な線状降水帯が停滞した。長時間にわたり猛烈な雨となり、土砂災害や球磨川が氾濫(はんらん)するなどの被害がでた。

 気象庁は大雨注意報を午前11時半ごろに出したものの、大雨警報が出たのは午後8時台。夜からの急激な雨で、深夜に避難指示を出した自治体も少なくなかった。危険に気づかないままの避難遅れによって、被害も拡大したとされ、避難のタイミングをめぐり課題も浮かんだ。

安全に避難するには①

 熊本大くまもと水循環・減災…

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