「江戸生まれ」の野菜、小松菜は2002年からの20年間で全国での収穫量が約2倍に増えています。アクが少なく、生でも炒めても食べられる「緑黄色野菜の優等生」として人気です。1月、東京都内の産地を訪ねました。
グーグルマップで葛飾区を上から見ると、住宅が密集する中にポツポツと整地された畑がある。東京23区のなかで農業が残る区の一つだ。
小松菜農家の大畑貴文さん(48)の畑も、民家や福祉施設に囲まれた一角にある。
畑には、深い緑色の小松菜がびっしりと植わっていた。1年を通して収穫しているが、「霜にあたる今の時期の小松菜は、甘さが出て一番おいしい」と大畑さんは言う。
記者が1本採らせてもらった。
土から垂直にのびた黄緑の茎を、逆手でつかんで真上にすっと引き抜く。根っこが出てきた。袋詰めされているスーパーではあまり見ることがない。
飲食店や学校給食向けには、この根をつけたまま出荷するそうだ。「根がついたままのほうが、もちがいいんですよ」と教えてくれた。
面積あたりの収穫量が多く、同じ畑で同じ作物を栽培し続けることで不良となる「連作障害」が出にくいことが、都市部の限られた畑での栽培に向いているという。
飲食店用の小松菜は、片道1…