東京電力福島第一原発が立地する福島県大熊町と双葉町。二つの町には、原発事故で汚染された県内各地の表土をはぎ取るなどした除染で出た土(除染土)を保管する中間貯蔵施設がある。住民らは自宅や田畑だった土地を苦渋の思いで提供した。原発事故前にはあった集落や人々の営みを一つの地区を通して記録したドキュメンタリー映画を移住した大学生が作成した。
映画「夫沢(おっとざわ)」(60分)を制作したのは、慶応大4年生の阿部翔太郎さん(23)。2020年に入学し、政治や政策について考えるサークルに所属した。その活動で、震災前の大熊町の様子や原発事故による避難について町民に聞き取り、冊子にまとめた。
- 震災前の大熊を一冊に、慶大生が住民に聞き取り 冊子「架け橋」完成
だが、当時はコロナ禍でオンラインでの調査が多く、充実感は薄かった。直接話を聞き、町をもっと知りたいと考え、3年生の時に1年間、休学。町の中心部はまだ避難指示が続いていたため、近くの町に移住し、夫沢地区を知った。
旧日本軍の飛行場、震災前に踊られた伝統芸能
地区には第一原発が立地し…