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花壇に投入される除染土=東京都千代田区の経済産業省、杉浦奈実撮影

 環境省は14日、東京電力福島第一原発事故後に福島県内の除染をして出た土(除染土)約28立方メートルを東京・霞が関の経済産業省の花壇に入れた。除染土の再生利用に対する国民の理解を広げるのが目的で、中央省庁計9カ所で花壇や盛り土に使う予定だ。

 この日は経産省のほか、環境省、財務省などが入る二つの庁舎の敷地でも、土の搬入などがあった。今後、他の省庁の敷地にも順次運び込む。いずれも除染土の上を覆うように普通の土をかぶせて使う。担当者は「来庁者は誰でもご覧いただける場所。実際の状況を体験いただきたい」と話した。

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袋に詰められた除染土=東京都千代田区の中央合同庁舎5号館、杉浦奈実撮影

 福島第一原発を囲む中間貯蔵施設(福島県大熊町、双葉町)には今年8月末時点で約1410万立方メートルの除染土がある。政府は法律で2045年3月までに除染土を福島県外で最終処分するとしている。処分にまわす土の量を減らすため、全体の約4分の3にあたる、放射性物質の濃度が1キロあたり8千ベクレル以下の土を公共事業などで使う方針だ。担当者によると、今回使う土は1キロあたり約4千ベクレルだという。

 政府は今年8月に決めた工程表で、中央省庁での再生利用を行った後、全国の出先機関や所管法人、民間企業の土地造成などへと利用先を広げる構想を示した。すでに7月には首相官邸で再生利用が始まっているが、工程表の策定後は、今回が初めてとなる。

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花壇に投入される除染土=東京都千代田区の経済産業省、杉浦奈実撮影

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