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活動発表をえびの市役所で披露する飯野高校の武田さん(左)と石川さん=2025年5月23日、えびの市役所、後藤たづ子撮影

 宮崎県立飯野高校(えびの市)の石川紗羽さん(3年)と武田姫依さん(同)は昨夏から、地域で子どもたちが障がいの有無にかかわらず楽しめるイベントや授業に取り組んだ。その経験を3月末、全国の高校生が活動を報告する大会で発表し特別賞を受賞した。

 2人は2年生時の授業の探究活動で、子どもたちに関わることをしたいと希望が一致。国籍の違う人との交わりや、特別支援学校が併設された小・中学校に通ったことなどそれぞれの経験を踏まえ、インクルーシブ教育(障がいの有無、国籍、性差などにかかわらず共に学ぶ教育)について調べた。

 普及が進んでいない現状が分かり、高校生の自分たちで出来ることをやってみようと動き出した。

 障がい児らの療育を支援する施設を訪ねると、夏のキャンプの運営に参加させてもらえることになった。「子どもたちも自分たちもわくわくできる活動をしよう」と、廃棄野菜でスタンプをつくって画用紙に色をつける遊びなどを企画し実践した。

 すると、地域の催しで子ども広場の企画・運営をと声がかかり、秋、今度は障がいのある子もない子も一緒に参加する形で実施した。

 さらにその後、隣の市にある支援学校で授業をさせてもらうことになった。5、6年生とのひな人形づくりを企画。先生たちと話し合って準備をし、絵の具を触るのが苦手な子でも色づけができるよう工夫するなどした。最初はこわばっていた子どもたちの顔もどんどん笑顔になり、先生から「また授業してもらいたい」という声もかけてもらったという。

 活動を振り返り、「子どもたちに対する理解を自分たちで深められた」という2人。自己満足なのかもと悩むこともあったが、「支援してくれる大人や共感する高校生のメンバーが増えていることは事実」という先生の言葉に励まされた。

 活動を今年3月、「全国高校生マイプロジェクトアワード全国Summit」で報告した。このイベントは認定NPO法人カタリバが呼びかけ開催。全国から選ばれた48プロジェクトの一つとして発表した石川さんと武田さんの取り組みは、6者に贈られる特別賞に選出された。5月末にえびの市役所で市長や教育長らを前にその報告をした。

 石川さんは活動を通して、それまで漠然と抱いていた「教育関係の仕事に就きたい」という思いが明確になったという。武田さんは小中学校時代に支援学級の先生たちを見て、「私も子どもに元気を与えられる先生になりたい」と、教育現場の仕事に関心を持ってきたという。東京での発表は、「活動を振り返るいい機会になった」。今できることをまだまだやろう、という気持ちにもつながった。

 発表時には「もっと子どもたちの目線に沿った方がよい」といった助言も受けたといい、2人はさらなる活動への準備を進めている。秋にも敬老の日に合わせた活動を子どもたちと一緒にできないかと企画中だ。

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