大学進学率が6割近くになり、また、法改正で私立大学にも「合理的配慮」が義務化されたなか、障害がある高校生にとっては依然として進学にさまざまなハードルがある。どのような困難があり、学校現場や生徒たちはどのように向き合っているのか。

まなviva!(学び場)

幼い子どもから、人生のベテランまで。日々の暮らしの中に、学びは満ちています。「学ぶ」をとりまく最新事情を伝えます。

 「この英文には、副詞が隠れていますよ」

 東京都立中央ろう学校(杉並区)の高等部1年の英語の授業。先生は手話を交えつつ、翻訳補助機を首からぶらさげて、ゆっくり、滑舌よく、大きな声で解説する。教卓前に置かれたタブレットには、音声認識アプリでテキスト化された先生の説明が表示されていく。聴覚障害があっても必要な情報を得られるように、さまざまな方法で伝達する「情報保障」の一環だ。

都立中央ろう学校高等部1年生の英語の授業。教卓を囲むように生徒が座る=2025年4月30日午後2時30分、東京都杉並区、本多由佳撮影

 同校は全国で唯一、大学進学などを目指す中高一貫型ろう学校として2006年に開校した。受験に向けたサポートが手厚く、他県から都内に引っ越して通う生徒もいるという。聴覚障害のある大学生の話を聞いたり、大学の授業を受講したりして、進学を具体的にイメージできる機会を多く設けている。

 大学の授業体験に参加した高…

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