社会福祉法人側の代理人を務めた藤原航弁護士(左から2人目)は「障害者グループホームが発展していく大きな指針を示す和解だ」と意義を語った=2024年7月1日午後2時2分、大阪市北区、山本逸生撮影
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 大阪市のマンション管理組合が障害者のグループホーム(GH)として部屋を使わないよう社会福祉法人に求めた訴訟は1日、大阪高裁(阪本勝裁判長)で和解が成立した。一審は消防上の観点から「住宅以外の使用を禁じる」との管理規約に反するとしたが、高裁は反しないと表明。利用者は同じ場所で生活できることになった。

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 障害者GHが集合住宅を使う例は少なくない。消防上の法令を互いに順守すれば共存できるとする内容で、法人側は「歴史的和解」と評価した。

 一審・大阪地裁判決によると、法人は2005年までにこのマンションの2室を借り、知的障害のある6人が入浴や食事介護などの福祉サービスを受けながら暮らしてきた(その後2人が入院のため退去)。だが高齢者施設などの火災を受けた15年の改正消防法施行令で、GHが入る集合住宅は定期点検の報告義務を負った。一審はこれらを踏まえ、他の入居者の「共同の利益に反する」として法人に退去を求めた。

 地裁は組合の負担を重くみて法人敗訴としたが、高裁は利用者がGHの部屋を「生活の本拠」としてきたことからマンションの管理規約に反しないと評価し、双方に和解を勧めていた。

 この日の和解条項には「地域…

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