離婚などを経て別居する親子の「面会交流」の調停申し立てが増えている。子どもの成長に重要とされるものの、離婚した2人が交流の場の設定のために連絡をとるのが難しい場合も多い。仲介役となり、子どもの心情に配慮した場をつくる支援団体が各地にあるが、その数が需要の増加に追いつかないのが現状だ。
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昨年12月の土曜日、午前9時25分。広島県福山市のNPO法人「こどもステーション」の施設で、代表の奥野しのぶさん(61)が書類をめくっていると、3歳の男の子が駆け込んできた。
小走りで追ってきた30代の母親の女性が奥野さんと職員にあいさつする。
家裁で女性と元夫の離婚調停が成立したのは2021年の夏。子どもは女性と一緒に過ごすことになり、父子の面会交流を月に1回、1時間設けることが決まった。弁護士を介さずに2人が連絡をとることはほぼない。同法人が2人の間に立ち、日程の調整や子どもの受け渡しを代行することになった。
女性は元夫とずっと、仕事や互いの実家のことでの口論が絶えなかった。互いに物に当たり、声を荒らげて責め合うこともあった。離婚が話題に上ったとき、親権を渡すように求められたこともあったという。
面会交流について直接やりと…