標準的な治療が効かなくなった前立腺がんに対して、大阪大などの研究グループは新しい治療法を開発し、臨床試験(治験)を6月から始めると発表した。アルファ線というエネルギーの高い放射線を出す物質を使う治療で、15人ほどの患者に参加してもらう予定だという。
グループはがんに集まる物質とアルファ線を出す物質をくっつけた治療薬の開発に取り組んでいる。今回、注目したのは、前立腺がんの細胞の表面に出ているたんぱく質。このたんぱく質の出ている細胞に取り込まれる物質をつくり、アルファ線を放出する「アスタチン211」をくっつけた薬を開発した。動物実験で安全性と効果を確認した。
薬を患者に注射すると、薬を取り込んだがん細胞の中で、高いエネルギーのアルファ線がDNAを傷つけて細胞を破壊すると期待される。アルファ線は細胞のすぐ近くでエネルギーを失うため、まわりの組織には影響が少ないという。体外に出てくることもないため、隔離病棟の必要はない。
治験では、安全性を確認しな…