ソフトバンクの近藤健介選手(左)と交流した西尾彰人さん=福岡市

 プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの近藤健介選手(32)に会いたい。難病をかかえる少年のそんな夢がかなった。

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 8月19日、ソフトバンクの本拠地・みずほペイペイドーム(福岡市)のグラウンド。車いすで訪れた佐賀県鳥栖市の中学1年、西尾彰人さん(12)は近藤選手の背番号3の入ったユニホームを着て、あこがれの人と対面した。

 「いつも応援しています」

 「最近打てていないから、パワーもらって頑張るね」

 近藤選手は、そう言ってくれた。

 西尾さんは心臓の一部が正常に働かない病気を抱えている。全身に血液を送り出す左心室の機能が損なわれている「左心低形成症候群」。すでに4回の手術を受けているという。

 野球をしていた兄2人の影響で、2023年ごろからソフトバンクを応援するようになった。近藤選手が日本ハムから移籍してきたシーズンだった。母のしおりさん(39)によると、気付けば「コンちゃん」(近藤選手の愛称)と呼び、ファンになっていたという。

 昨年、難病の子どもの希望をかなえる活動を行う公益財団法人「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」の存在を知った。福岡支部に「近藤選手に会いたい」という夢を送った。話を聞いた近藤選手が、西尾さんを勇気づけたいと応じ、交流が実現した。

 この日、西尾さんはサイン入りの打撃手袋などをもらった。「ちょっと緊張したけど、楽しかった」

 試合では、近藤選手が有言実行の活躍を見せた。2点を追う一回1死二塁で「チャンスでランナーをかえすことだけを考えていた」と右前に適時打。自身5試合ぶりの安打が反撃のきっかけとなり、チームは5―2で西武に逆転勝ち。観戦していた西尾さんに勝利を届けた。

 「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」は1992年12月に設立され、3~18歳未満の難病をかかえる子どもの夢をかなえる支援を続けている。昨年は「ディズニーランドに行きたい」「(サッカー日本代表の)三笘薫選手の試合が見たい」といった全国208人の子どもたちの夢をかなえたという。

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