判決の受け止めを語る雪崩事故の遺族ら=2024年5月30日午後4時44分、栃木県庁、津布楽洋一撮影
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 栃木県那須町で2017年3月、県高校体育連盟主催の登山講習会に参加した県立大田原高の山岳部員7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた当時の講師役の教諭ら3人に対し、宇都宮地裁は30日、いずれも禁錮2年(求刑禁錮4年)の実刑判決を言い渡した。

 瀧岡俊文裁判長は「雪崩という自然現象の確実な予測が難しいことを踏まえて検討しても、相当に重い不注意による人災だった」と述べた。

 判決を受けたのは、講習会会長で、本部で指揮を執った猪瀬修一被告(57)▽亡くなった8人を含む大田原高の生徒らを引率した菅又久雄被告(55)▽別の高校の生徒らを引率した渡辺浩典被告(61)――の3人。

 判決によると、3人は17年3月27日朝、前夜からの積雪を踏まえて合議をし、登山を実施する計画を変更し、深雪歩行訓練を行うことを決めた。

 その際、事前の下見や地形図の確認、気象情報の入手など安全確保のための情報収集をせず、漫然と訓練を実施した過失に加え、引率した2人が急斜面を認識しながら危険を避ける指示などをしなかった過失も重なり、雪崩事故で8人を死亡、5人にけがをさせた。

事故は「容易に予見できた」

 弁護側は公判で「雪崩の発生…

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