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帝塚山中学・高校が記者会見場に記した見取り図=2025年4月12日、机美鈴撮影
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 「急激に天候変化」「防ぎきれなかった」。奈良市の帝塚山中学・高校グラウンドで10日に起きた落雷事故を受け、同校が12日に開いた記者会見。小林健校長らは事故の状況や生徒の様子などを説明した。主な内容は次の通り。

  • 雷研究者のサッカー部顧問が語る「落雷で中止」の難しさ
  • 急な天候変化「防ぎきれず」「学校の責任」奈良の落雷事故、学校会見

 ――部活動中の6人が救急搬送され、うちサッカー部の中学生2人が意識不明の重体となった。事故の責任については。

 学内で起こった事象であるので、学校の責任と考えている。各教員は雷とかの天候に関して非常に敏感で、日頃から注意して指導するようにしていた。ただ当日は急激な天候の変化が起こり、防ぎきれなかったと考えている。

 まだ入院している生徒がおり、一刻も早い回復を心からお祈りしている。今回のことで傷つかれた生徒、入院されている生徒、そのご家族を思うと、本当におわびの言葉もございません。一刻も早く回復するように学校としても努める。

 ――サッカー部の当日の練習状況は。

 開始時刻は午後4時前後。午後6時までの予定で、練習終盤にさしかかっていた。4対4のゲーム形式の練習をするため、フィールドに散らばり、開始を待っている状態だったと聞いている。

 ――雷注意報が出た際の部活動の対応は。

 (サッカー部では)JFAのサッカー活動中における落雷事故防止対策のガイドラインで、気象庁提供情報の雷注意報の発表状況などで情報収集を行い、また事前に危険が予想される場合、日程時間を調整するなどの対策を講じるとなっている。気象情報を目視や音で確認することにもなっている。

 ――現場にいた顧問教諭らは雷注意報が出ていたことを把握していたか。

 野球部の顧問教諭1人は認識していたが、(他の部の)顧問は把握していなかったと聞いている。

 ――強い雨が降り始めた直後の落雷。顧問らは異変などを感じたのか。

 雷鳴は全く聞こえず、まさに1発目がこの雷だった。

 ――予見可能性については

 困難であったのではないか。

 ――学校として雷に備えたルールはあるのか。

 各競技団体において(ルールが)あるので、学校として一律、雷の時にどうするというものがあるわけではない。

 ――他部の避難状況は。

 天候への対応は競技ごとに異なる。野球部とテニス部は、雨の場合、早く切り上げることになっている。野球部は小雨が降り始めた段階で今日は早めに切り上げようとしていた。同じくテニス部も帰り支度を始めようとしていた。

 ――当日の対応として問題はなかったか。

 顧問団の話を聞いても、やれる限りのことはやっていたと思う。

 ――グラウンドの安全対策はしていたのか。

 平成22(2010)年に、緊急の避難所として、避雷針2基をつけた屋根付きのスタンドを設置した。落雷の危険がある場合などにはそこに避難ができるようにした。

 ――今回は。

 雨が降り始めてすぐに落雷があったので、避難する余裕もなかったと聞いている。(サッカー部の)顧問によると、雨が降り始めたものの、サッカー競技としては(練習を)継続する程度のものだった。念のため、ベンチに戻って、雨雲レーダーを確認しようとした矢先に落雷が発生したと聞いている。

 ――グラウンドにいた生徒115人の現在の様子は。

 非常にショックを受けている生徒、恐怖を感じている生徒、学校に来られなくなっている生徒もいる。

 ――生徒のケアは。

 スクールカウンセラー2名に学校に来てもらい、教室に入れないという生徒に対応している。

 ――保護者への説明は。

 メールの連絡システムで説明した。保護会の開催に関しては慎重に検討していく。

 保護者から、落雷事故後の対応に関してもう少しこうしてほしかったという声を頂いている。

 ――再発防止策は。

 今後、専門家を入れた調査委員会を立ち上げ、事故の検証と、より有効な再発防止対策を提言して頂き、対応していく。

 落雷事故に直接あった生徒はもちろん、生徒全員の日常生活を早く取り戻していきたい。

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