新しいエネルギー基本計画(エネ基)の素案が17日明らかになった。3年ぶりの改定にあたり、経済産業省が強調してきたのが「現実路線」だ。素案には「再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立ではなく、ともに最大限活用していく」と記した。だが原発の再稼働や建て替えは、安全性の確保や地元の理解が大前提で、簡単には進まない。
東京電力福島第一原発の事故後、一時は全国の原発がすべて止まった。徐々に再稼働してきたとはいえ、事故前の4分の1にあたる14基にとどまる。電源構成に占める原発の割合は事故前は3割だったが、2023年度(速報値)は8.5%。素案で示した「40年度に2割」とする目標の、半分にも満たない。
全国にある原発は、建設中を含めて36基ある。ほとんどを動かさないと達成は難しいが、原子力規制委員会の審査や、地元の理解を得るのに長い時間がかかる。審査の申請から10年以上たっても再稼働していない原発もある。このうち10基は審査も申請していない。
東京電力東通原発(青森県)…