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「Luup」が導入した交通違反点数制度では、違反による点数が重なると電動キックボードの利用ができなくなる(写真は同社社員のもの)=2024年6月25日午後1時29分、東京都千代田区、板倉大地撮影

 電動キックボードの利用が都市部を中心に広がり、違反や摘発も増えている。規制が緩和されて「自転車並み」となってから7月で1年。手軽な移動手段として定着する一方で、夜間の飲酒運転などへの対策が必要になっている。

 電動キックボードは東京都内などでシェアリングサービス(貸し出し)が展開されている。駅前など各地に、車両の貸し出しや返却ができる無人の拠点「ポート」が置かれ、専用アプリで予約をして借りる仕組み。移動先のポートで返却する。

 7月初旬の水曜日、東京・渋谷。JR渋谷駅前のポートを午後11時半に訪れると、電動キックボードは全て貸し出し中になっていた。渋谷は特に利用が多い地区だ。

 数分後、業者の軽自動車が到着し、積んでいた車両15台がポートに追加された。すぐに若者を中心に利用希望者が集まり、この15台も30分ほどで全て貸し出された。翌4日午前0時半にも15台が追加されたが、これもすぐに品切れになった。

 電動キックボードで友人と新宿に向かうという美容師の女性(23)は「タクシーより安いし、今の季節は乗っていると夜風が気持ち良い」と話す。普段から繁華街の間を移動する際に使っているという。

ヘルメット「持ち歩くの面倒くさい」

 会社員男性(43)は会社から自宅への移動で利用している。電車よりも料金が安く、移動時間も10分ほど早いというが、「人気で乗れない日の方が多い」。ヘルメットの着用が努力義務だと知ってはいるが、「持ち歩くのが面倒くさい」と普段から着けていない。男性は「皆が着けるようになれば考える」と話した。

 男子大学生(20)はアルバイト先からの帰宅で毎日使っている。飲酒後に乗ったこともあるという。「キックボードなら大丈夫だろうと思っている」

 この日、記者がポートで確認した利用者30人のうち、ヘルメットを着けていた人はいなかった。着用の努力義務を知っていると答えたのは5人。利用者の多くが若者だった。(比嘉展玖、御船紗子)

 電動キックボードは原付きバイクの扱いだが、道路交通法が改正され、最高速度20キロ以下などの要件を満たす車体は「特定小型原動機付き自転車」に区分された。昨年7月から、16歳以上は運転免許がなくても乗車可能となり、車道の左側や自転車レーンを走ることができるようになった。

 警察庁によると、電動キックボードを含む特定小型の今年1~5月の摘発件数は1万4432件で、既に昨年7~12月の半年の約2倍となった。今年の摘発を違反別にみると、ルールに反して歩道を走行するなどした通行区分違反が8324件で最多。信号無視4143件、一時不停止758件と続いた。昨年の半年間と比べると、酒気帯び運転が2.9倍の108件で最も増えた。

違反を点数化、アカウント凍結も

 事故は今年1~5月で105…

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